建ぺい率の面積加重平均の際の疑問

今回は「建ぺい率」算定の小ネタです。

 

建築基準法第53条を読むと、「近隣商業地域及び商業地域内で、かつ、防火地域内にある耐火建築物」は建ぺい率の適用はないことになります。

 

しかし、建築基準適合判定資格者検定や1級建築士の試験では、「∞(無限)」ではなく、「10/10(=100%)」として荷重平均を行うのが通例となっております。

 

設計や確認審査の実務経験者であれば何の違和感も覚えないでしょうが、真っ新に法律を読むと、「建ぺい率の適用はしない。」と宣告された敷地なので、加重平均の時ってどう考えればいいの?となる人が出てきてもおかしくなさそうな規定です。

 

この世には建築基準法の解説本は数多(あまた)出版されていますが、無条件で「10/10」として算定することを前提として書かれており、この疑問に答えてくれるものはありません。(おそらくですが)

 

法規の実務者向けの国土交通省監修の質疑応答集には、「建ぺい率の制限を受けない部分の建ぺい率を10分の10として面積加重平均して定めるものとされている。」と記載があります。

 

え!?それって解説になってないじゃん・・・

 

ということで、少し私なりに考えてみました。

 

そもそも建ぺい率は、容積率のそれとは異なり、敷地面積に対して建築可能な建築面積は100%が上限となることを前提としております。よって建ぺい率が100%を超えることを想定する必要がありません。これは前述した「建ぺい率の適用がない=無限」の否定となります。

 

ですので、法文上に「建ぺい率の適用がない」とあるのは「敷地面積に対する建築面積の制約がないため、敷地面積の上限値目いっぱいまで建築が可能な土地となる=計算上は100%として取り扱うのが合理的で自然体である」ということになります。

 

こんな考察で合っているのか定かではありませんが、しかし、これは建築法規界の不文律となっていることは間違いなさそうです。

 

以上、建ぺい率に関する小ネタでした。他に良い考察・見解があれば是非ご教授いただければと思います。

 

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