考査Bに「中間点」はあるのか?

結論としては、「減点」はあっても、「中間点」があるかは不明


先日、当サイトに以下の内容のお問い合わせがありましたので、見解をみなさんにお伝えします。

おなまえ:Tさん(匿名性を高めています。)

内 容:こんにちは。今年2度目の受験(去年は対策ゼロで受験でランクⅢ)のものです。 手引きの解答例見ながらボチボチ勉強中ですが、さっそく質問です。計画1の高さ制限は後退緩和できる場合は後退ありで検討しないと減点なのでしょうか?実務だと緩和使わずとも不利側でクリアしていればOKとしてしまってることもあり、時間短縮をとるのであれば緩和とか考えず適合してればよし、って感じで解いていっていいものなのか…ご意見伺えればと思います。よろしくお願いします。

 

試験対策をするものとしては、とても気になる内容ですね。

ということで、この点について国交省から公式な見解が出されていない以上は、推測の域は超えませんが、昨年度の問題文を参考に考察してみましょう。

 

考 察 開 始

考査Bの問題文には、次のような注意書きのようなものがあります。

(建築計画1及び2について)

コメント:

毎年同じ内容の記載がありますが、初学者の方はよく理解しておく必要があります。

考査Bの法適合の「審査」を、どこまで行って判定すればいいのかが記載されております。

次に、

問題 現在、某建築士事務所により、それぞれの敷地に「建築計画1」及び「建築計画2」の2種類の 略設計が行われている。それぞれの建築設計について、下記の条件のもとに、建築基準法上、 適合しているかどうかを審査して、答案用紙に記入してください。

<条件> イ.各建築計画における敷地等の状況及び建築物の概要は、それぞれの「略設計図」のとおり です。 ロ.「計画の概要」の記載数値等は、「略設計図」の数値と一致しています。 ハ.「計画の概要」及び「略設計図」のみによって審査し、略設計のため判定できない事項は、 審査の対象外とします。

コメント:これらは、問題の計画は検定用の問題であるが故に、出題範囲外の法令不適合箇所などがあっても気にしないでくれ、程度の捉え方で大丈夫です。保険ですね。

次が重要です。

答案の書き方(答案用紙は別紙です。)

1. 上記の問題を十分に読んだうえで、答案用紙の(い)欄に掲げる審査対象項目について、 「建築計画1」の5項目、「建築計画2」の9項目、計14項目を審査し、(ろ)欄には、建築 基準法上、適合している場合には○印を、不適合である場合には×印をつけてください。

コメント:当たり前のことを言いますが、簡単にいうと「審査せよ。」となります。

審査」について、審査経験者の方であれば初歩中の初歩ではありますが、法第18条の3(確認審査等に関する指針等)はご存知でしょうか?

行政の方で許認可や違反指導の部門にいる方は、あまりお目にかからない法文かと思いますのでご紹介しておきます。

法文を確認すると、平成19年の国交告835の指針に飛ぶことになりますが、ここに「審査」(※厳密にいうと「検査」も含まれます。)の方法について記載してあります。

本検定についても、基本的にはこの「審査」を指しているわけですね。

よって、規則1条の3に示されている、各法文毎の明示すべき事項の範囲内で、法適合について判定していくことになります。

 

2. 適合している項目については、(は)欄に適合箇所及び理由を明確に記入してください。 さらに、その根拠規定を(に)欄に記入してください。

コメント:理由は、「なぜ適合しているかというと・・・」といった形で記載することになります。

模範解答は、某アカデミーや唯一の検定本である「手引き」などから出されておりますが、正直、端折って記載しても「理由さえ明確に記載していれば問題ない」ことになります。

ま、ここのさじ加減が難しいのですが・・・

(「法第56条第1項第2号・・・」の「第」っているのでしょうか?笑)

 

3. 不適合である項目については、(は)欄において、不適合である部分がどこであるかを具体的に明示(例えば、2階階段室)し、その不適合である理由を明確に記入してください。 さらに、その根拠規定を(に)欄に記入してください。なお、不適合であると判断する部 分が2箇所以上ある場合には、その全ての箇所について記入してください。

コメント:不適合である理由を明確に記載する必要がありますね。

例えば、内装制限の問題の回答で、「2階 事務室A 準不燃材料のため不適合 法第128条の4」では根拠及び理由が不十分で、詳細に理由を記載する必要がある旨をうたっております。

どのくらい文章を省略できるかは、論理的な文書構成と法第18条の3及び規則1条の3から逸脱していない範囲で法適合を判定できたかどうかになると考えられます。

しかし、これでは中間点があるかどうかはわかりませんね。

少なくとも、考査Bの問題の配点は、「1題、3~4点」となっておりますので、個人的には「中間点はない」と考えております。

念を押しますが、個人的な見解です。

 

4. 答案用紙の審査対象項目1から12については、(は)欄に、許容限度と計画の数値(計算式も明記すること。)を記入し比較したうえで、適合、不適合の判定をしてください。こ の場合、1つの項目に審査すべき箇所が複数存在する場合には、その全て 33について検討 したうえで、適合、不適合の判定をしてください。

コメント:許容限度と計画の数値の計算式を明示しろと書いてありますね。こればっかりは無視できません。

あとは、Tさんの質問通り、「緩和規定の適用なくとも、明らかに法適合している。」として後退距離の検討をせずに法適合判定をしていいのか疑問が湧きますね。

特に計画Ⅰについては、簡単に判定ができる分、記載する時間がもったいないですよね。

お気持ちはお察しますが、国交省から公式な示し物がない以上は「丁寧に記載するのが確実という結論になってしまいます。

前述したとおり「論理的な文書構成と法第18条の3及び規則1条の3から逸脱していない範囲で法適合を判定できたかどうか」に基づいて記載すればいいとすれば、規則1条の3 表2(29)項を参照すると、「法第56条第1項から第6項までの規定による建築物の各部分の高さの限度」は明示すべき事項ですので、しっかりと記載する必要がありそうです。

※ですので、本サイトでは「考査Bの計画Ⅰの高さの問題は丁寧に記載し、「計画Ⅱの高さの問題は捨て問とすることを推奨しております。試験制度や配点になんらかの変更が生じない限りは、時間対効果的に必勝法だと考えております。

 

5. 不適合である部分を全て記入していない場合、又は、根拠規定の記入が不十分な場合に は、減点されます。

コメント:中間点とは異なりますが、「減点」について記載があります。

不適合である部分の記載が漏れていた場合と、根拠規定(法第〇条第〇項第〇号 令第〇条第〇項〇号 告示)が一部抜けていた場合ですね。

これについては、審査漏れは「1点から2点の減点」、根拠規定抜けは「1点」程度の減点と予測します。

特に後者での減点はもったいないので、しっかりと解説書や法令を読んで、「法」からしっかりと記載しましょう。

ある程度勉強すれば、何も見ずに記載できるはずです。

 

考察終了


 

ということで、中間点の存在は一切わかりませんので、あやしい情報や都市伝説でもあればコメントいただければと思います。

はっきり言えることは、「中間点ねらいの記載は期待しないほうが良い。」ということ。

それに、「減点」はあるらしいが、記載省略におけるものではない。」ということ。

 

以上、考察でした。

 

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