建築基準法の「解釈」って何?

建築法規に携わる方ならご存知の「解釈」について、初学者向けに簡単に説明したいと思います。

 

意外とベテランの人に多いのが、先輩から口伝で教わってきた法規の読み方。これも一種の解釈だったりするので、今一度ご確認いただければと思います。

 

建築基準法に限らず、この世の法律には必ずと言っていいほど「解釈」の世界が存在します。

 

「解釈」という言葉をGoogle先生に聞いていただければ雰囲気がわかるかと思いますので、ここでは下手な解説はしません。

 

特に建築基準法は、造形物の形状や性能を「文章」というツールに置き換えて表現がなされているため、完璧に表現できているかと言えば、かなり怪しいものです。

 

まずはこういった前提で法律を読み解いていくとこになります。(正確には、これ以外にも前提とすべきリーガルマインドや、法の改正経緯などがありますが、ここでは割愛します。)

 

たとえば、法第二条の用語の定義にある「建築物」がいい例です。

 

素人が法文を読めば、「へぇ〜、屋根に壁とか柱があれば、みんな建築物なんやな。」となりますが、実際にこの世にはかなりグレーな工作物が存在します。

 

例えば、電話ボックス。どう見ても屋根があって壁があるように見えますが…これは全国的に建築物ではなくインフラ設備として、建築基準法は適用していないみたいです。

 

この他にも、トレーラーハウスや犬小屋、ごみ置き場、水上に固定された船建築、農業用ビニルハウスなど、一様に本文だけでは判断できない工作物が存在します。

 

代表的なものについては、国(国土交通省)が通達や技術的助言又は過去(中央集権時代)の質疑応答などで見解という名の「解釈」を発しており、さらには、全国の行政庁で申し合わせた統一見解として「解釈」を冊子にまとめていたりします。

 

もちろん、地方分権の時代ですので、法の運用(つまり解釈)は原則的に地方行政に委ねられております。

 

なので、事業者や設計者は計画地を所轄する官庁(基本は役所の建築指導課)に行って、法の解釈を尋ねることになるのです。

 

これは実務的には常識的な話のようです。が、事業者や設計者からしたら、あまり馴染みのない話なのかもしれません。また、行政庁の若い人も知らなかったりするので注意が必要ですね。

 

また、ここ最近に始まった話ではありませんが、民間確認検査機関の制度が始まってからは、ますます「解釈」について課題が浮き彫りになってきています。

 

「各行政庁」が(というよりも「各建築主事が、」といったほうが正確だと思いますが)、自らの判断により法文を「解釈」してきたものが、「その判断の根拠ってなんやねん?」と突っ込まれる時代になってきているのです。

 

さてさて、まとめです。

 

何が言いたかったかというと、『建築基準法には「解釈」の世界が存在していて、意外と自分の判断も自己の経験からの解釈だったり、または、先輩から聞いた解釈の可能性があって、他の人や他の行政庁によっては違う見解が示される可能性がある。』ということがわかれば、素人よりは少しレベルの高い視野が持てている、ということです。

 

「解釈」は一種の決めの世界ですので、合理的に説明ができる内容で行政庁側がズバッと決めていただければいいのですが、なかなかそうはいかないものみたいですね〜。

 

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