「場合」「とき」「時」の違い?

「場合」「とき」「時」の違い?

[word_balloon id="1" position="L" size="M" balloon="talk" name_position="under_avatar" radius="true" avatar_border="false" avatar_shadow="false" balloon_shadow="true" avatar_hide="false"]正しく法文を読みこなすためには“法律用語”に慣れる必要があります。

建築基準法は「又は」「及び」だけおさえても正確に読むことは出来ません。(といっても「又は」「及び」も理解を深めようとすると、めちゃめちゃ深いんですけどね。)

 

ということで、今回は「場合」「とき」「時」の違い?について解説しましょう。

 

ちなみに、あくまで「この程度の理解で、ほぼ98%以上は正確に読めますよ。」というレベルで解説していますので、突き詰めていこうなんてさらさら考えていませんので。この点はご理解ください。[/word_balloon]

 

「場合」「とき」

「場合」も「とき」も仮定的条件を示す言葉です。

一般的には別に意味の区別なく混用されており、日常的には全く問題となりません。

 

しかし、法律の世界では、「又は」「もしくは」や「及び」「ならびに」と同様に、大小関係にあります。

つまり、大きい条件には「場合」を用いて、小さい条件には「とき」を使うというルールです。

※「時」については後述。

 

例文としては、

(法第53条-建蔽率-)第7項 建築物の敷地が防火地域の内外にわたる場合において、その敷地内の建築物の全部が耐火建築物等であるときは、その敷地は、全て防火地域内にあるものとみなして、第三項第一号又は前項第一号の規定を適用する。

 

しかし実際に法文を見てみると、その項(又は号)の文章中に直接「場合」という仮定条件無しに「〇〇のとき・・・」と表記されていることが多いようです。

これはその項(又は号)の前段で大きな仮定条件を前提としているか、又は、当時流行っていた法律の表現が残っている可能性があります。

「ん?流行りの表現?」と思われた方。これは事実あるのです。

法改正のタイミングで、常用語ではない難しい漢字をひらがなに直したり、その逆もあることはご存じの方は多いかと思います。

(例:建ぺい率→建蔽率)

 

似たようなもので「次の各号の一」や「次の各号のいずれか」という表現もあります。

このように、その当時の立法府(ここでは漠然と“国”と同義にしておきましょう。)の考え方によって、法文の細かな表現に違いが見られるのです。

 

私が某市建築指導課にいた際にも、当時の審査担当係長が「この告示の表現は、他の告示の表現と微妙に異なるため、何か特殊な意味合いがあるはずだ!」と悩んでいる姿が懐かしいです。

(ちなみにその方はゼネコンから転職してきたバリバリ現場系の方で、しっかりと法を扱う実務の経験はありませんでした。邪推しすぎっすよ!笑)

 

少し話が逸れましたが、法文中に「とき」だけ使用されている場合はあまり深く考えなくOKということです。

 

なお、基本的には「場合」と「とき」はセットになるため、一文中に「場合」が重複することはありません。

 

「時」

一方、「時」と漢字を用いた際には、「時点」又は「時間」が問題になる場合にだけ使われます(←ここさえ押さえればOK)

建築基準法では基本的にこの「〇〇となった時、・・・」のような表現は使われません。

大体が「適用の際、・・・」といった具合に「」という表現が好まれて使用されています。

(実はこれもやっかいな表現だったりするのですが、この解説は別の機械に譲ります。)

他には「火災時」や「〇時間」という固有名詞名詞の形で出現します。

政令を見れば構造の章で「耐えている時」などの表現があります。

 

使用上の注意点

以上により、条例や規則など、形式的な文章を作成する際には、仮定条件上の「場合(大)」「とき(小)」なのかある特定の時点を示す「時」なのかを意識して使い分ける必要があります。

 

といっても、これは行政庁職員くらいしか意識しなくてOKな知識でしたね~。

 

設計者の方や民間確認検査機関の方にとってはそれほど重要ではない印象です。

 

最後に念を押しますが、仮定条件を表す場合に「時」は使えないのでご注意を!

 

[word_balloon id="1" position="L" size="M" balloon="talk" name_position="under_avatar" radius="true" avatar_border="false" avatar_shadow="false" balloon_shadow="true" avatar_hide="false"]日常における会話はもちろんのこと、ビジネスシーンや議会等の答弁の際に問題視されることはありません。(たぶんね。)

 

あくまで法律用語や公文書のような形式的な文に用いる際のルールだと思ってください。[/word_balloon]

 

Copyright© 法規塾 , 2024 All Rights Reserved.