[word_balloon id="1" position="L" size="M" balloon="talk" name_position="under_avatar" radius="true" avatar_border="false" avatar_shadow="false" balloon_shadow="true" avatar_hide="false"]法改正時に、必ずといって言いほど『経過措置』が設けられます。
その際に「なお従前の例による」「なお効力を有する」という表現を見たことがありませんか?
特に【罰則規定の経過措置】では毎回のように出現します。
この微妙なニュアンスの違いを解説しましょう![/word_balloon]
まずは結論から
・結局、意味合いは変わらない。
・附則に基づき適用を判断する際、根拠は『附則』なのか、それとも『旧法』なのか、程度の違い
解説
この両者は附則において経過措置として規定する際に使用される慣用句です。
微妙に表現が異なるため、「何か特別な意図があるんじゃないか?」とついつい邪推してしまいそうです。
周囲の上司や同僚に聞いてもGoogle先生以上の答えは返ってこないでしょう。(プライドの高い先輩に聞けば、それっぽい答えは返ってきそうですが、往々にして誤認識の可能性大です。)
そもそも法律用語に関しては、法学部出身の方と比較して国語力が相対的に劣ると思われる建築技術系の我々には十分に勉強する機会が無かったため、いきなりこんな附則にぶち当たるわけです。
まぁしかし、上記のように結論さえ押さえてしまえばなんら怖いことはありません。
特に行政庁の職員の方等で、条例改正に携わる人がいればもう少し深い理解は必要となってきますね。
前置きはこのくらいにして、「なお従前の例による」「なお効力を有する」の微妙な表現の違いはなんなのか?については、以下3つのポイントを押さえればOKです。
1 附則自体が「適用根拠」となるか否か
2 当該法令に関する施行命令等(政令や規則の適用)を経過措置として、別に定める必要があるかどうか
3 旧法の改正は可能か
(ん~・・・・っと?と思ってしまう方が大半かも・・・
ここでもう一度結論をおさらいすると、「結局、意味合いは変わらない。」ってことなので、3つのポイントをすべて理解できなくてもなんら支障はありませんのでご安心を。
強いて言えば、実務上は1つ目のポイントさえ押さえれば行政職の方は大丈夫。
ってことは、設計者や民間確認検査機関等の方々は3つのポイント自体あまり必要がない知識ってことになります。結論さえ押さえれば良いってことです。
せっかくなので、3つのポイントを少し深堀します。
1 附則自体が「適用根拠」となるか否か
ある事柄について「旧法令又は改正前の法令が適用される根拠」について、
『なお、効力を有する』・・・その規定によって効力を有するとされる旧法令又は改正前の法令の規定そのもの。
『なお従前の例による』・・・旧法が完全に失効している状態であり、この『なお従前の例による』という規定のみが適用根拠となる。
の違い。
2 当該法令に関する施行命令等(政令や規則の適用)を経過措置として、別に定める必要があるかどうか
『なお、効力を有する』・・・効力を有するとされた特定の旧法令等の規定のことだけにフォーカス(限定)を当てている。ゆえに、特定の旧法令等の規定に関する政令や規則等がある場合には、経過措置を別に規定する必要がある。
『なお従前の例による』・・・当該法律の他、政令等を含めてフォーカス(包括)している。ゆえに、特定の旧法令等の規定に関する政令や規則等がある場合には、原則として、経過措置を別に規定する必要はない。
の違い。
3 旧法の改正は可能か
『なお、効力を有する』・・・必要があれば、後に旧法規定に基づく施行命令等は改正できる。
『なお従前の例による』・・・旧法制度をそのまま凍結された状態で適用しようとするため、旧法に基づき政令等は改正できない。
の違い。
といった感じになります。
[word_balloon id="1" position="L" size="M" balloon="talk" name_position="under_avatar" radius="true" avatar_border="false" avatar_shadow="false" balloon_shadow="true" avatar_hide="false"](まとめ)
以上のような微妙な違いはありますが、建築基準法の罰則規定のようなケースでは、経過規定の内容いかんによっては、この二つの書き方の間で、何ら効果は異にしませんし、結局は同じ意味になります。[/word_balloon]